太陽vs火星|どっちが行きやすい?【動画あり】

太陽

NASAの太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」は、金星との軌道を利用しながら、太陽に接近し、その謎を解き明かす任務を担っています。しかし、そこは摂氏1370度という、想像を絶する高温の世界が広がっています。

太陽到達は火星の55倍のエネルギーが必要

太陽は、私たちにとって最も身近な天体であり、その存在を常に感じることができます。しかし、実際に太陽へ行くことと、火星や木星へ行くことを比較した場合、どちらが容易なのでしょうか?

実は、太陽へ到達するためには、火星や木星へ行くよりもはるかに大きなエネルギーが必要となるのです。具体的には、約55倍ものエネルギー差があると言われています。

この理由は、地球が太陽の周りを時速約10万8000kmという猛スピードで公転していることに起因します。もし、地球から太陽へ直接ロケットを打ち上げたとしても、地球の公転速度が影響し、ロケットは目標から大きく逸れてしまうでしょう。

金星スイングバイ

では、どのようにして太陽へ近づくのでしょうか?
その答えは、地球の公転速度を打ち消すために、公転方向とは逆向きにロケットを打ち上げるという方法です。

金星をスイングバイする「パーカー・ソーラー・プローブ」

しかし、そのためには、打ち上げ速度に加えて、さらに時速約8万5000kmもの減速が必要となります。そこで、「パーカー・ソーラー・プローブ」では、金星のスイングバイを何度も繰り返すことで、徐々に速度を落としていく戦略が採用されています。
この方法により、探査機は地球の公転速度を大幅に減速させると同時に、太陽へ向かう速度を加速させます。

太陽に最接近する際には、探査機はなんと時速約69万2020kmという、人類史上最速のスピードに達しました。
今後、太陽の謎はもちろんのこと、金星に関する新たな発見も期待したいですね。