地球より古い70億年前の粒子、隕石から発見!地球の起源を超えた宇宙のロマン

宇宙

1969年、オーストラリア・ビクトリア州に落下したマーチソン隕石から、70億年前の粒子が発見されたという研究結果が発表されました。これは、地球の誕生よりも25億年も前に存在した物質であり、太陽系形成以前の銀河の状態を知る上で極めて重要な発見でした。

隕石から発見された70億年前の粒子

隕石から取り出された粒子のひとつ。

米国科学アカデミー紀要(PNAS)掲載された論文によると、マーチソン隕石に含まれる40個の粒子は、50億年から70億年前のものであることが判明。これらの粒子は、宇宙塵を起源とし、現在地球上で確認されている固体としては最古のものです。
地球の形成が45億年前であることから、これらの粒子は太陽系形成以前の情報を保持していると考えられます。実際、これらの粒子は、数十億年前の銀河系における星の形成活動に関する新たな知見をもたらしました。

シカゴ大学の天文学者、Philipp Heck氏は、「本研究は、これまでの研究の中で最も興味深いものの一つである」と述べています。

宇宙塵を生み出している卵星雲

プレソーラー粒子とは?

発見された宇宙塵は、直径約8マイクロメートルと非常に微細な粒子です。これらの粒子は、「プレソーラー粒子」と呼ばれ、太陽系形成以前の宇宙空間に存在していました。フランスのCenter for Petrographic and Geochemical ResearchのDavid Bekaert氏によると、プレソーラー粒子は、太陽系と同時に形成された天体にも到達している可能性があるとのことです。
本研究では、マーチソン隕石にプレソーラー粒子が豊富に含まれていたことと、年代測定の新たな手法が開発されたことが重要な要素となりました。研究チームは、隕石の破片を粉砕し、粒子を分離した後、酸で処理してプレソーラー粒子を抽出しました。

年代測定方法:結果

粒子の年代測定には、宇宙線によって生成される元素の量を測定する手法が用いられました。その結果、粒子は46億年から70億年前のものであることが判明し、特に46億年から49億年前の粒子が多いことが明らかになりました。

星のベビーブームとプレソーラー粒子の移動

この年代分布は、銀河系における星の形成活動が一定ではなかったことを示唆しています。46億年から49億年前は、星の形成が活発な時期、いわゆる「星のベビーブーム」であったと考えられます。

また、プレソーラー粒子が宇宙空間を「グラノーラ」のように凝集して移動している可能性も示唆されました。本研究は、太陽系や銀河系の形成過程に関する理解を深める上で、重要な貢献となるものです。