私たち(地球)が宇宙人を見ている時、彼らも私たちを見ている。という仮説

宇宙

1995年、人類が初めてその存在を確認した太陽系外惑星ペガサス座51番星b。それ以降、続々と系外惑星が発見され、その数は現在、実に4,000個近くにも及ぶという。しかし、ここで一つの疑問が浮かび上がる。こちらから見えるということは、向こうからも同じように見えるはず。つまり、基本的な観測方法で地球から彼らの星が見えるのなら、彼らからも地球は丸見えなのではないか?

この、いわば逆転の発想を追求した、背筋がぞくっとするような研究論文が発表された。

トランジット法と相互観測の可能性

学術誌『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』に掲載された論文のタイトルは、非常にシンプルだ。「トランジット法を用いて、どの恒星から地球が系外惑星として観測できるのか?」というものだ。

トランジット法の原理と応用

系外惑星は地球から非常に遠く離れているため、通常の望遠鏡で直接観測することは難しい。そこで、トランジット法をはじめとするいくつかの間接的な方法が用いられる。トランジットとは、「惑星の軌道面が観測者の視線方向とほぼ平行な場合、つまりその系をほぼ真横から見ているとき、惑星が公転のたびに中心星の前面を通過する」現象を指す(天文学辞典より)。恒星の光が周期的にわずかに暗くなることを観測できれば、その恒星の前を公転している系外惑星の存在を間接的に検出できるというわけだ。トランジット法を応用すれば、惑星の公転周期、温度、大気の性質、そして地球のような岩石惑星なのか、あるいは木星のような巨大ガス惑星なのかも調べられるそうだ。

トランジット法の限界

しかし、この便利なトランジット法にも弱点がある。地球の黄道面と平行に並んでいる恒星と惑星しか検出できないのだ。つまり、地球が太陽の周りを公転する軌道面(黄道面)よりも上や下にある太陽系外惑星系は、残念ながらトランジット法では見つけることができない。それでも、この方法によって何千もの系外惑星が発見されてきたのだから、その有効性は疑いようがないだろう。

我々(地球)は宇宙のどこから見えるのか?

さて、本題に戻ろう。

米コーネル大学のLisa Kaltenegger准教授と米リーハイ大学のJoshua Pepper准教授が発表した今回の研究では、トランジット法の視点を逆転させ、「どの系外惑星から地球が太陽の前をトランジットしているのが見えるのか」を調べたそうだ。

このテーマに関する研究は過去にも行われていたが、今回はESA(欧州宇宙機関)ガイア計画から得られた最新のDR2データを用いることで、より詳細な結果が得られた。研究者たちはまず、NASAトランジット系外惑星探索衛星(TESS)とガイア計画のDR2データを用いて、地球のトランジットゾーン(ETZ)に含まれる恒星の数を数えた。ETZとは、地球が太陽の前をトランジットするのを観測できる領域のことで、黄道面と交差する0.528度以内のくさび形の範囲を指す。次に、ETZに含まれる恒星のうち、100パーセク(326光年)以上離れた恒星は除外された。なぜなら、それ以上遠く離れた場所からは太陽の光が十分に届かず、地球のような小さな惑星がトランジットしていても観測できない可能性が高いからだ。

候補となる恒星の特性

その結果、ETZ内で地球から100パーセク以内に存在する恒星は1,004個であることがわかった。

しかし、そのうち77%は赤色矮星であり、たとえ惑星を持っていたとしても生命の痕跡は期待できないことが判明した。一方、6%は太陽と同じGタイプの恒星であることがわかった。もし地球外生命体が存在するとすれば、希望があるのはこのGタイプだろう。

さらに、1,004個の恒星のうち、現在までに惑星を持つことが確認されているのはわずか3つしかないという。つまり、これらの恒星系がハビタブルゾーン内に位置する惑星を持っていれば、今後の地球外知的生命体探査において最有力候補となる。また、Gタイプに分類される恒星をさらに調べ、惑星の存在が確認されれば、地球のように生命を宿す星が見つかる可能性も出てくるだろう。

知的生命体は地球をどう認識するのか?

ETZ内に存在するということは、見ようと思えば向こうからも地球を検出できるということだ。

「もし活発な生物圏を持つ惑星が発見されれば、そこにいる誰かも私たちを見ているかもしれない」と、研究著者のKaltenegger教授はCornell Chronicleに語っている。

「私たちが知的生命体を探しているように、向こうも探していて、私たちにコンタクトを取ってくることだってありえる。」

地球はかなり魅力的な対象

もしETZ内の100パーセク以内にある系外惑星に知的生命体が存在し、トランジット法で地球の存在を検出していたとしたら、彼らは地球について他にどんなことを知ることができるだろうか?

まず、地球が岩石惑星であること、そして海と陸地があること。一年が365日であること。太陽系内のハビタブルゾーンに位置していることもわかるだろう。

つまり、地球はかなり魅力的な対象として捉えられるだろう。