月の文化遺産登録の概要

文化遺産を監視するワールド・モニュメント財団が、毎年恒例の「世界モニュメント・ウォッチ」を発表しました。このリストは、200以上の候補地から厳選された25ヶ所であり、今年はなんと「月」が選ばれたのです。月が選ばれたのは、地球外の文化遺産として初の出来事。
地球外の遺産を守る時代へ

「今回、初めて月を選出したのは、人類が地球を超えて踏み出した最初の一歩を示す遺産を認識し、保存する必要があるからです。これは、私たちの歴史における画期的な瞬間です」
ワールド・モニュメント財団の代表Bénédicte de Montlaur氏は、そう語ります。
月面着陸の様子を記録したカメラ、アームストロング船長とオルドリン船長が残した記念ディスク、そして数々の物品。これらは月の遺産を象徴するものですが、適切な保存が行われなければ、月面開発の加速によって大きなリスクにさらされる可能性があるのです。
発表によると、月面には宇宙船が着陸した場所が90箇所以上も存在します。中でも有名なのは、1969年のアポロ11号が残した人類初の足跡ですよね。
加速する月面開発

「新たな宇宙探査が始まる今、人類初の月面着陸の痕跡を確実に保存しなければなりません。今回の選出は、国際的な合意と保護を提唱し、月の文化と自然景観について議論を深めるためのものです」
声明では、そう述べられています。人類が再び月を目指し、長期滞在を計画している今、月がリストに選ばれたのは当然と言えるでしょう。
NASAのアルテミス計画は遅れているものの、2027年には有人月面ミッションを予定しています。しかし、アルテミス計画だけではありません。NASAの商業月面輸送サービスを通じて、多くの民間ミッションが計画されています。
つい先日も、SpaceXが月着陸機「ブルーゴースト」と「レジリエンス」を打ち上げたばかり。SpaceXのスターシップも、月面観光に利用される可能性があります。
月の資源開発、そして墓地利用?

さらに、月での資源採掘や墓地利用も計画されています。もし実現すれば、月は大きく姿を変えてしまうでしょう。だからこそ、ワールド・モニュメント財団は警鐘を鳴らしているのです。
月面は風や水がないため、人工物はほぼ完璧な状態で保存されています。しかし、今後のミッションや民間開発によって、月の遺産が損なわれる可能性があると警告しています。今年のリストには、地震や紛争で被害を受けたトルコやガザの遺跡も含まれています。
地球上の遺産も忘れずに
気候変動にさらされるアフリカやアメリカの沿岸地域、観光客で溢れる渓谷、公害に苦しむ都市。
地球上にも、守るべき遺産はたくさんあります。2023年には、中国の仏教壁画が雨と湿気で損傷し、ウクライナではロシア軍が遺跡を破壊している証拠が見つかりました。
2025年のリストはウェブサイトで確認できますが、リスト外の遺産も脅威にさらされています。文化遺産を守るために、私たちに何ができるのか。今一度、考えてみませんか?