私たちの銀河の中心に潜む超大質量ブラックホール「いて座A*」が、今、宇宙の謎を解き明かす鍵となるかもしれない、驚くべき現象を見せているのをご存知ですか?太陽の約400万倍もの質量を持つこの巨大な天体で、頻繁に謎の爆発現象が観測されているんです。
ウェッブ宇宙望遠鏡が捉えた、鮮烈な光
ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)が、1年以上にわたり、合計48時間もかけて「いて座A*」を観測した結果、このブラックホールが、まるで脈打つように、さまざまなフレア(爆発現象)を頻繁に起こしていることが明らかになりました。
ノースウェスタン大学の天文学者、Farhad Yusef-Zadeh氏によれば、超大質量ブラックホールでフレアが起こることは予想されていたものの、「いて座A*」は、その活動が際立って活発で、常に変化し続けているという点で特異な存在だそうです。同氏は、「2023年から2024年にかけて何度も観測したが、そのたびに異なる変化が見られた」と、大学の発表で述べています。
頻発するフレア、その原因と影響

天文学者たちを特に驚かせたのは、そのフレアの頻度でした。なんと、1日に5~6回もの大きなフレアが観測され、その合間にも小さなフレアが頻発しているというのです。
Yusef-Zadeh氏によると、これらのフレアは、降着円盤の乱れによって過熱したガス(プラズマ)が圧縮され、太陽で発生する太陽フレアに似た放射線の爆発が引き起こされる可能性が高いとのことです。この研究成果は、The Astrophysical Journal Lettersで詳しく読むことができます。
新たな発見:中間赤外線フレアの検出

さらに、2025年1月には、別の研究チームがウェッブ望遠鏡の中間赤外線装置(MIRI)を用いて、このブラックホールの中心核から発せられる中間赤外線フレアを初めて検出しました。このデータは、ブラックホールが周囲の物質とどのように相互作用するのか、そしてブラックホールが生み出すフレアが降着円盤やその先にどのような影響を与えるのか、という二つの大きな疑問を解き明かす上で、非常に重要な手がかりとなるそうです。
これらの観測結果は、宇宙の謎を解き明かす上で、新たな扉を開くものとなるかもしれません。今後の研究から目が離せませんね。